しつこい勧誘と特定商取引法

更新日:

質問

職場に投資を進める営業の電話が頻繁にかかってきます。
「営業の電話はご遠慮ください」と述べたにも関わらずおさまりません。
特定商取引法17条は、契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘の禁止について定めていますが、例えばA社のB氏個人に対して、不動産投資の営業の電話をC社のD氏が行った場合、B氏に「営業の電話はご遠慮ください」といわれた際は、もう、C社はB氏に勧誘を行うことは出来なくなるのでしょうか?それとも、D氏がB氏に営業の電話をできなくなるだけに過ぎないのでしょうか?
※事案は架空のものです。

回答

特定商取引に関する法律(特商法)17条は、「販売業者又は役務提供者は、・・・・してはならない」と規定しています。不動産投資のC社の担当D氏が営業行為を行った場合、「販売事業者」はC社であり、D氏は「販売事業者」の権限の一部を使って営業行為をしているにすぎません。

したがって、禁止行為(…してはならない)の主体はC社であり、C社の権限の一部を使っての営業行為は全て禁止されます。例えば担当者がE氏に代わっても、C社の権限の一部を使っていることに変わりません。すなわち、E氏による営業行為も禁止されます。

もっとも、17条が禁止する行為でも、それを行為前に事前に差し止めたりはできません。あくまで禁止行為がなされたときに、ペナルティが発生するだけです。その意味で禁止の効果は強くありません。

ペナルティの内容は、主務大臣による「指示」及び業務停止・禁止の原因となることです。刑事罰、クーリングオフなどは規定されていません。したがって、刑事罰が科される可能性はありません。これを罪刑法定主義といいます。

具体的には、主務大臣は「提供を受ける者の利益の保護を図るための措置」をとるように指示を出す場合があります。この指示が出された場合、会社名が公表されます。そして「指示に」従わない場合に(法律上はこの場合に限られませんが)、主務大臣は業務停止・禁止を命じることができます。「指示」を出してもらうためには、録音等で証拠を残しておくことが有効と思われます。

ところで、何度も勧誘行為がなされるということは、顧客は何度も拒絶の意思を示しているはずです。そういった場合、営業担当者が怒って、顧客を威迫(脅迫に近い意味です)するようなことがあるかもしれません。その場合、クーリングオフの対象となります。刑事罰も定められています

タイトルとURLをコピーしました