クーリングオフ、制度誕生の経緯(クーリングオフ①)

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クーリングオフとは?

クーリングオフという言葉を聞いたことがある方は多いと思います。その意味について、どの程度ご存知でしょうか。

知人に聞いたところ、高価な布団などを売りつけられたような場合に、契約を解除できること、といった答えが返ってきました。同じようなイメージを持っている方も多いと思います。

そもそもクーリングオフの英語表記は「Cooling Off」。日本語では「頭をひやすこと」といった意味です。すなわち、頭を冷やして考えて、やっぱりやめようとなったときに、契約を解除できる制度といえます。

通常、契約の解除は、契約当事者の一方が義務を履行しない場合の他方当事者に認められています。クーリングオフは、相手方の義務の不履行がない場合でも契約を解除できる点が特徴です。

クーリングオフ制度の導入

しかし、クーリングオフはどんな場合にでも認められているわけではありません。「よく考えたら、やっぱりイヤ」という理由での解除が無制限に認められると、契約社会が崩壊してしまうからです。

クーリングオフ制度の導入は1972年にさかのぼります。当時、訪問販売により、百科事典セットなどの高価な商品を分割払い(当時は「月賦」とも呼ばれていました。)で購入させられてしまうという「被害」が増加していました。「被害」といっても、その値段でそのセットを購入する契約を締結したのは事実ですから、ストレートに「被害」は言えないかもしれません。しかし、その契約に不満を持つ消費者が多かったのも確かなわけです。そこで割賦販売法(以下、「割販法」)の規制の一部として、店舗外の割賦販売契約に対するクーリングオフ制度が設けられました。

訪問販売による割賦払い契約にクーリングオフが認められているのには、二つの理由があります。一つは、契約を締結したくない又は少し考えてから決断したいという場合に、客が店舗から立ち去るという方法を選択できないからです。もう一つは、毎月の支払額が少ないために、長期にわたる分割払いの負担を、客が十分に理解できないまま契約してしまう場合があるからです。そこで、契約してしまった人に「頭を冷やす」機会と契約を解除する権利を与えて、消費者保護を図ったのがクーリングオフの制度なのです。

その後、1976年に訪問販売法が制定されます。訪問販売、連鎖販売取引について、クーリングオフが可能になりました。連鎖販売取引とは、俗にいう「マルチ商法」のことです。
マルチ商法の特殊性は、仕組みが複雑であることに加えて、商品代金以外の特定負担があることです。仕組みを十分に理解し、特定負担の妥当性を検討するための機会を付与するためにクーリングオフ制度が導入されています。
(つづく。 クーリングオフ②へ)

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