保険外交員の闇③

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保険外交員が保険金を受け取る?

自爆営業の結果とはいえ、保険契約はちゃんと成立しています。数か月で解約される運命ではありますが、解約前に事故が発生する場合もないとは言えません。生命保険契約の成立直後に、被保険者が死亡してしまうこともあるわけです。
保険外交員にしてみれば、保険料は自分が払っています。いわば、保険金の対価は自分が負担している。結果、保険金は自分のものだと考える人も出てきます。保険金の受取人に対して、保険金をよこすよう要求するしてくるのです。

保険業法の制約

もちろん、こんな請求は法的に認められません。そもそも、保険契約、特に生命保険契約は、保険料を支払う人と保険金の受取人が異なることがあるのを当然の前提としています。保険料を払ったから保険金をよこせなどという言い分は、全くナンセンスです。
せいぜい、保険料相当額を返せといえるくらいなのですが、実はこれもできません。もともと、保険料の肩代わりは、保険業法違反です。肩代わりによる金銭の交付は、不法原因給付といって、返還を求めることができないのです。
しかし、外交員は、営業に出る前に長い研修を受けています。保険業法違反であることを当然知っていて、保険料の肩代わりを行っているのです。要するに、法律を守る気はハナからありません。よって、法律違反だからという理由でおとなしく引き下がることもありません。こうなると、やっていることはヤクザと一緒です。

保険外交員が事件屋に

やくざのような外交員は、巷に結構存在します。契約者が事故を起こした際に、契約者に代わって、相手方と交渉して、手数料をとっている人もいます。もちろん、こういった行為は非弁行為と言って、弁護士法に違反します。もともと弁護士法は、こういった事件屋の跋扈(ばっこ)、三百代言の跳梁を防止するための法律なのです。
そして、こういった事件屋たちは、まともに交渉しようとはしません。深夜に交渉相手を事件屋の事務所に呼びつけることもあります。また、和解契約書に署名を迫り、本人が書面を持ち帰って検討したいというと、署名しない限り、持ち帰りを認めないと言ったりします。和解成立前に手渡してしまうと、専門家のところに相談に行かれてしまう可能性が高いからです。
こういった外交員風味の事件屋の闇は、弁護士が不足する地方ではよくみられます。
(終わり)

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