施設における落とし物の取り扱い-遺失物法と特定施設占有者制度

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質問

ある施設で職員をしているのですが、来訪者の落とし物が多く、その処分に困っています。
現在は、一定期間保管し、期間中に落とし主が現れない場合には廃棄処分しています。
しかし、もったいないので、寄付したり、売却できないかと考えています。
法的な問題点はありますか。

回答

おそらく、売ってお金にするのが目的ではないですよね。
管理のコストから解放されたいのでしょう。
それなら、警察に届けるのがベストだと思います。

学校のような「施設」にも、遺失物法の適用はあります(遺失物法2条5項6項)。
したがって、落し物は「速やかに」警察に提出する必要があります(遺失物法4条、13条)。
3か月たっても落とし主が名乗り出なければ、所有権を取得できます(遺失物法33条、民法240条)。
遺失物法に基づいて所有権を取得してから、売るなり、捨てるなりしてはいかがでしょうか。

なお、改正遺失物法により、特例施設占有者制度が導入されています。
しかし、特例施設占有者とは、駅、空港、百貨店など、不特定多数の人が利用する施設が想定されています(遺失物法施行令5条5号)。
逆にいえば、その他の施設は、かなり大きな施設で、かなり多くの落とし物があるとしても、警察への提出義務があるのです(遺失物法17条)。
したがって、やはり警察署長への届け出は必要だと思います。

勝手に売ったり捨てたりするのは、厳密にいえば違法です。
誰も被害届を出さないので、問題とならないだけなのです。

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