生活保護費の差し押さえへの対抗策

生活保護を受けているので借金を返せません。事情を説明すれば免除してもらえますか?

多重債務状態の相談者の中には、生活保護を受給されている方もいらっしゃいます。
生活保護費は最低限の生活費なので、基本的に、債務の弁済に充てる費用はありません。
しかし、クレジット会社、サラ金の方からすると、債権の取り立てをしないわけにはいかないようです。請求書を送ったり、電話を掛けたり、場合によっては裁判を起こしてくることもあります。
生活保護受給証明書等を提示して、債務を免除してもらったという例は聞いたことがありません。

生活保護費を差し押さえられてしまうことはありますか?

裁判の判決や、簡易裁判所を通じた支払い督促をもって、債務者の財産を差し押さえることが可能です。預金が差し押さえられる場合もあります。
しかし、生活保護費を差し押さえることはできません。ここでいう生活保護費は、債務者名義の預金口座に振り込まれる前の生活保護費を受領する債権のことです。こういった債権は、差押禁止財産とされているのです。
債務者名義の預金口座に振り込まれた後は、役所に対する生活保護費の請求権ではなく、銀行に対する預金債権となります。これは差押禁止財産とはされていません。したがって、差押を受ける可能性があります。

保護費は支給日の午前0時に振り込まれるので、すぐに引き出そうと考えていますが、債権者の方も午前0時に差し押さえをしてくる可能性はないのでしょうか。

債権差押命令は、第三債務者(銀行)に送達された時点で効力を生じます。
送達は、郵便局に委託して実施されます。
書留に近い形と考えてください。
ご存じのとおり、書留の送達について時間まで指定することはできません。
したがって、差押についても時間指定はできないことになります。

差し押さえられた保護費を取り戻すことはできませんか?

差押禁止財産の範囲変更を申し立てることにより、預金差押の全部または一部の効力を否定することができます。生活保護の受取口座であり、生活保護費しか入金されていないような場合には、差押全部の効力が否定されるでしょう。
ただし、この申立は、銀行から債権者に支払いがなされるまでに行う必要があります。支払がなされてしまうと、手の打ちようがありません。急いで弁護士に相談されるとよいと思います。
生活保護受給中の方であれば、ほぼ確実に、弁護士費用を法テラスから支給してもらえますし、後に弁護士費用の償還(返済)を免除してもらえます。保護受給者にとっては非常に重要であり、かつリスクも少ないと言えます。

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