保険外交員の闇①

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1.保険外交員の債務整理

 保険の外交員さんの債務整理は、割とよくある事件類型です。
 保険の外交員とは、保険契約の販売を担当する営業職の従業員のこと。かつて、ニッセイレディ、日生のおばさんなどのCMがテレビで流れていたのを覚えている方もいるかもしれません。
 保険の外交員は、基本給が少なく、歩合給によるところが大きく、腕がよくないと十分な収入が得られません。それゆえ、家計収支のバランスが取れず、多重債務状態に陥ってしまうことがよくあるのです。

2.生保レディのデビュー

 保険外交員は、終身雇用が当たり前だった昭和の時代においても、中途退職後あるいは子育て後の再就職口として、かなりの人気がありました。
しかし、保険外交員が扱うのは、保険契約という専門性が高い商品です。誰もが売って回れるわけではありません。そのため、生保レディとして営業に出るまでには、一定期間、研修を受ける必要があります。
 新人の生保レディが回る営業先は、たいてい、かつての職場であったり、親族、友人だったりです。顔なじみなら営業トークもしやすいでしょう。退職後の生活を心配してくれるような、やさしい知人、友人もいるかもしれません。新人生保レディも、初めの数か月間はかなりの売り上げが得られます。売り上げが上がっている間は、かなりの歩合給が得られます。

3. 生保レディーの苦境

 しかし、そういったご祝儀相場は長く続きません。知人、親族、かつての所属先などを一通り回った後も、売り上げを維持できる生保レディはごくわずかです。売り上げが減少すれば、生保レディの歩合給は、あっという前に減少します。
 実際のところ、大手生保会社は、外交員が新人である間の営業力に期待していると思われます。別の言い方をすると、新人外交員の友人関係、親族関係等に依存したご祝儀契約に期待しているのです。そういった人間関係を利用して契約をとってくれれば、モトは取れる。モトとは、研修期間中の給料のことです。新人外交員の人間関係を一通り利用したら、後は用済みです。

4. 人間関係を換金する仕組み

 どんな人でも、友人、知人、親族がいます。「生保レディ」というのは、広い意味で、個人の持つ人間関係を換金する仕組みなのです。少なくとも、生保会社は、そのように認識しているはずです。
 同じように、個人が持つ人間関係を換金するシステムとしては、マルチ商法、ネットワークビジネスなどが挙げられます。それほど親しくない友人から久しぶりに連絡が来て、シャンプーとか浄水器とか、よくわからない商品を売りつけられたという経験がある人もいると思います。
 もちろん、保険外交員が売る保険契約は、それ自体が怪しいわけではありません。保険を買ってくれた人との人間関係が壊れてしまうことは少ないでしょう。人間関係が完全に壊れることが多いマルチ商法とは異なります。
 しかし、一度利用した人間関係を再利用できないという点では同じです。保険契約は、一度契約してしまえば、あとはそれを維持するだけだからです。
繰り返しになりますが、保険外交員として、長期間、安定収入を得ていくのは、かなり難しいのです。保険会社は、外交員の人間関係を換金してしまえば、あとは用済み、低賃金で飼い殺す。このあたりに、保険外交員という職業の闇の一端があるといえるでしょう。

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