相続放棄は自分でできるか?

相続放棄とはどんな制度か?

相続放棄とは、被相続人の遺産を一切承継しないことを家庭裁判所に申述することを言います。相続人全員で話し合った結果、自分はなにも相続しないことになったというのとは、ぜんぜん違うので気をつけましょう。
相続放棄の制度が利用されるのは、父が多額の借金を残して死亡した場合に、妻子が借金の支払いを免れたいような場合などです。
相続放棄は、不動産などのプラスの遺産も、借金などのマイナスの遺産も、一切引き継がないという制度です。自宅不動産はもらうけど、借金は払わないといったことはできないので注意してください。

相続放棄は素人でもできるか?

法律相談などで相続放棄について説明すると、「自分でもできますか?」と聞かれることがよくあります。結論から言うと、法律家に依頼せずに本人が行うことも可能です。
相続放棄は、家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出して行いますが、書式は裁判所のウェブサイトで入手できます。法律の要件を満たしていれば、申述は絶対に認められます。記載に不備があれば出し直しも可能です。法律家でなくても、十分作成可能だと思います。

どんな場合に法律家に頼むべきか?

以下のような方は、法律家への依頼を検討されると良いと思います。
・書類作成、資料収集が苦手な方
・書類作成、資料収集をする時間がない方
・相続発生から3ヶ月以上経過している方

書類作成、資料収集が苦手な人

相続放棄申述書自体は、書式も用意されており、とてもシンプルです。しかし、家庭裁判所に提出する書類であり、こういった正式な文書を作成するのに、慣れていない方もおられるかもしれません。
また、申述書の他にも、いくつかの添付書類を提出する必要があります。ほとんどは役所で取得できるのですが、どんな書類が必要なのか、どうやったら取得できるかなど、初めてだとわからないことも多いと思います。純粋に、役所の手続きが苦手な方もいらっしゃるでしょう。
こういった方は、弁護士に依頼してしまえば、あとはお任せで進んでいきますので、とても気楽です。

書類作成、資料収集をする時間がない人

申述書の作成や資料の収集は、決して難しい作業ではありません。裁判所の書記官が優しく教えてくれる場合もあります。しかし、仮にそうであっても、ある程度の手間と時間がかかるのは事実です。遠方の役所と郵便でやり取りをすることもよくあります。裁判所や役所は、基本的には平日しかやっていませんので、仕事を休んで頂く必要があるかもしれません。
書類作成、資料収集が得意な方というのは、それなりに忙しい仕事をされている方も多いと思います。こういった方も、弁護士に依頼してしまえば、あとはお任せで進んでいきますので、とても便利です。

相続発生から3ヶ月以上経過している人

相続放棄は、相続開始を知ってから3か月以内に行う必要があります。3ヶ月以上経過してしまうと、原則として相続放棄はできません。
とはいえ、半年後に債権者から請求書が送られてきた場合など、その時点で相続放棄を認めてほしい場合もあるのが現実です。そして、そのような場合でも、相続放棄が認められることはあります。
ただ、これは例外的な措置です。例外を認めてもらうためには、3ヶ月以内に申述ができなかった理由をきちんと説明する必要があります。
もちろん、これも決して難しい作業ではないのですが、何しろ結果が重大です。うまくいかなければ、とても払いきれないような債務を負担することになりかねません。
こういった場合、弁護士に依頼すれば、例外的な措置を認めてもらいやすくなります。

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