契約社員と有期労働契約
皆さんの会社に「契約社員」 の方はいらっしゃるでしょうか?そもそも、「契約社員」とは、どういう意味でしょうか?
法律用語としての「社員」は、社団法人の構成員のことを指します。株式会社であれば、株主が社員です。
日常会話でいう「社員」は、労働者あるいは従業員を意味します。全ての労働者は、会社と労働契約(雇用契約)を締結しているはずです。契約書がなくても、契約は成立するので、すべての労働者は「契約」社員といえなくもありません。
しかし、普通、正社員のことを「契約社員」とは言いません。日常会話の「契約社員」は、期間の定めのある労働契約(有期労働契約)を締結している人のことを指しています。会社にいる期間が、6カ月、1年、2年などという形で決まっているのです。正社員が定年まで働くことが予定されているのとは、根本的に異なります。
無期転換ルールとは?
少し前の話になりますが、契約社員の地位に関して、大きな法改正がありました。それが無期転換ルールです。
無期転換ルールとは、有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるというものです。
労働契約法18条に定めが置かれており、平成25年4月1日から施行されています。したがって、平成30年4月以降、順次、無期転換申込権が発生しています。
無期転換ルールが導入された背景
無期転換ルールが導入された背景には、多くの契約社員が、有期契約の更新を繰り返して、長期間にわたって働き続けているという実態があります。
導入を進めてきた厚生労働省によれば、実態と形式を合わせただけであり、適切な雇用関係にしていくための取り組みということになります。
有期契約が更新される背景
一方、企業が、有期契約という形式をとり、更新を繰り返してきたのは、従業員を解雇する機会を確保するためです。例えば、一年の有期契約を締結して、更新を繰り返していれば、企業にとっては、一年ごとに解雇の機会が与えられているのと同じことになります。