某大手人材会社よりインタビューを受けた際の内容を掲載いたします。
Q工学部ご出身、一般就職ののち弁護士になろうと思ったきっかけを教えてください
大阪大学基礎工学部では情報工学を専攻し、医療用X線画像を解析するソフトについて研究しました。
しかし、中学から大学まで続けていた陸上競技に関わっていきたいと考え、国内のスポーツウェアメーカーに就職しました。すこし安易すぎたと思います。
就職してすぐ、大きなリストラがあり、多くの先輩が「希望退職」を強制されるのを目の当たりにしました。。退職した先輩から、怪しい健康食品(イワシエキスの錠剤とか)を売りつけられたりして、会社員という地位が非常に危ういものだと思うようになりました。弁護士を目指したのは、国家資格があれば食いっぱぐれないと思ったからです。これまた安易でした。
Q現在のお仕事内容を教えてください
都市型公設事務所の社員弁護士として、いわゆる「街弁」をやっています。ひまわり基金法律事務所での経験を生かして、同じ道を志す若い弁護士の指導にあたっています。
取り扱う事件は、離婚、相続、債務整理など、ごくごく一般的なものです。あえて言えば、採算の取れない事件も逃げずに受任するようにしています。
また、キャリアの最初の数年で、会社の民事再生事件を多く取り扱ったので、今も得意分野にしています。留学していた経験を生かして、外国人事件も積極的に受任しています。英語でも対応可能ですが、日本では英語を話せない外国人の方が多いです。これは誤算でした。
Qよくある1日のタイムスケジュールを教えてください
朝9時半くらいに出所するのが目標です。昨年の手帳を見返すと、裁判や打ち合わせは、一日に二つから三つくらい入っていました。
民事の裁判期日は、多くの場合10分以内に終わります。刑事の公判だと、証人尋問、被告人質問まで含めて、40分くらいでしょうか。打ち合わせは、1時間から1.5時間くらいです。
変わったところでは、事務所の近くジムに週3から4回通い、一時間くらい筋トレをしています。昼間に筋トレできるのは、自営業の特権です。筋トレは、マスターズ陸上に出場するためです。
事務所を出るのは、午後8時半頃が多いと思います。
Q仕事にやりがいを感じるのはどんなときですか
しかし、事件の組み立ての部分は、依頼者には見えませんし、見えたとしても当たり前に思えてしまうので、そこのところで感謝されることは少ないです。弁護士の自己満足なのですが、それでもそれがうれしいです。
もちろん、良い結果が出て、依頼者にお礼を言ってもらうのもうれしいです。成功報酬ももらえます。
Q青森のひまわり公設事務所に勤務され,留学もされています。どうして青森に赴任しようと思われたのか,またどうして留学しようと考えたのか,経緯を教えてください。
ひまわり基金法律事務所は、簡単に言うと、日弁連の支援を受けて、弁護士が不足している地域(司法過疎地)に設置される事務所です。
弁護士は、弁護士法上、法律事務を独占しています。独占する以上は、全国津々浦々まで、弁護士に依頼できる環境が整っている必要があります。青森県五所川原市でその役割を担いたい。所長選考面接では、そういった志望動機を述べたと思います。少し変わった経験がしてみたいという好奇心もありました。
イギリス留学も好奇心からです。JICAの法整備支援で海外赴任したいという希望を持っており、そのためのステップとして、日弁連の推薦で国際人権法を学び、修士号(LLM)を取得しました。
Q弁護士を目指す学生へメッセージをお願いします
振り返ると、コンピュータの世界で生きていく可能性もありました。スポーツウェアメーカーで会社員を続ける道もありました。結局、どれもモノにならず、弁護士になったわけですが、自分には向いていたと思います。やや過剰な好奇心、かなり理屈っぽい性格、その両方が役に立つ(ジャマにならない)職業は、なかなかありません。
そして、学生のころから弁護士を目指している皆さんは、回り道をした私よりも、弁護士として、ずっと遠いところ、高いところまで到達できるはずです。回り道をするのも悪くはありませんが、まっすぐ目的地を目指す皆さんのことが、私はうらやましいです。