ネット上の名誉毀損-不当な請求への対抗策①

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被害者からの過大な請求

ネット上の名誉毀損・プライバシー侵害について、被害者から相談を受けることが増えてきました。被害者から依頼を受け、加害者に対する損害賠償請求を行うことに特化した法律事務所も存在します。それ自体は、悪いことではないでしょう。

しかし、こういった法律事務所から、不当な損害賠償請求を受けているという相談を受けることも多くなってきました。加害者が法律の素人であることをいいことに、過大な請求をしてくる法律事務所もあるようです。

本稿では、こういった法律事務所から不当な請求を受けた場合の対抗策について、仮想事案をもとに解説したいと思います。
ネット上の名誉毀損-不当な請求への対抗策②(被害者弁護士からの損害賠償請求)
ネット上の名誉毀損-不当な請求への対抗策③(被害者弁護士が提示する不当条項)

発信者情報開示に関する意見照会

本件の加害者は、5chへの投稿から約10ヶ月後に、契約しているケーブルテレビ局からIPアドレスの開示について意見照会を受けました。

この照会はプロバイダ責任法に基づくものです。ネット上の投稿で名誉を毀損されたと考える人は、ネット回線とネットを繋げるインターネット・サービス・プロバイダ(プロバイダ)に対して、発信者情報(氏名、住所等)の開示を請求できます(同法4条1項)。この請求に応じるかについて、プロバイダは発信者に意見照会を行うことになっているのです(同条3項)。

発信者情報開示に同意すれば、被害者に情報開示がなされます。無視しても、同じ結果となることが多いでしょう。不同意とした場合には、プロバイダが投稿内容と不同意の理由等を検討して、開示に応じるかどうか判断します。不開示と判断した場合は、プロバイダと被害者の裁判となることもあります。

本件では、ケーブルテレビ会社がプロバイダであり、加害者は発信者情報開示に同意しました。自分が投稿を行ったこと、投稿が被害者の名誉を毀損したことを、半ば認めたことになります。

発信者情報開示に先立つIPアドレス開示請求

実は、プロバイダに対する発信者情報開示請求を行うためには、加害者のIPアドレス(XXX.XXX.XXX.XXXのような数列)が必要です。サイト運営者がIPアドレスを任意に開示することは考えにくいので、裁判所に対して発信者情報開示の仮処分を求めることになります。仮処分が出れば、サイト運営者はIPアドレスの開示に応じます。

本件でも、被害者は裁判所の仮処分命令を得て、5chから加害者のIPアドレスを取得しました。そして、ケーブルテレビ会社に対して、発信者情報の開示を求めたのです。
ネット上の名誉毀損-不当な請求への対抗策②(被害者弁護士からの損害賠償請求)
ネット上の名誉毀損-不当な請求への対抗策③(被害者弁護士が提示する不当条項)

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