はじめに
本稿では、訪問リフォーム工事と特商法の規制、特にクーリングオフについて説明しています。
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なお、当事務所では、クーリングオフの無料診断を実施しています。
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特商法の適用① 特商法の趣旨
実は、訪問フォーム工事には、特定商取引法が適用されます。具体的には、特定商取引の中の「訪問販売」の規制を受けます。
もちろんリフォーム工事は請負契約であり、何も「販売」されていません。しかし、こういったサービス・役務の提供も「訪問販売」の規制を受けるのです。ここがあまり周知されていないところです。
ともあれ、訪問リフォームを含む訪問販売に特商法の規制が及ぶ理由は、大きく分けて二つあります。訪問リフォームが儲かる理由とも重なります。一つは、消費者にとって心構えがないところで契約の勧誘が始まる点です(不意打ち性)。自宅にいきなりセールスマンがやってくる心理状態は、欲しいものを探してウィンドウショッピングをしている心理状態とは大きく異なります。他の商品、他のサービスとの比較ができない状態というのも大きいでしょう。
もう一つは、消費者に交渉の場を立ち去る自由が与えられていないという点です(密室性)。デパートで買い物をしている時と異なり、「また来ます」と言ってセールストークを切り上げることができないわけです。
上記の不意打ち性、密室性から、消費者の自由な意思決定が害される可能性が高いとして、訪問販売には特商法が適用され、消費者にはクーリングオフ等の権利が与えられているのです。したがって、訪問リフォーム工事もクーリングオフが可能です。
特商法の適用② リフォーム業者の対策
消費者側にクーリングオフが認められている以上、業者はクーリングオフができることを定めた法定書面を交付しなくてはなりません。交付しないと、クーリングオフの期間がスタートしない。その結果、いつまででもクーリングオフが可能となります。1年後でも可能です。
しかし、当たり前のことですが、法定書面を交付すれば、クーリングオフを受ける可能性があります。できれば交付したくないと考える業者もいます。そこで、数万円の契約を結ぶときに法定書面を交付しておき、数十万円の契約を締結する際は、「契約の変更」という形式をとり、法定書面を交付しないという業者もあります。
消費者がクーリングオフしようとしたら、最初の契約時に法定書面を交付済みであり、クーンリングオフができる期間を過ぎていると主張するわけです。もちろん、こういった主張は詭弁です。しかるべき弁護士に依頼して、裁判に持ち込めば、必ず排斥されます。
しかし、逆にいえば、素人の消費者を黙らせるには十分な理屈とも言えます。この手の被害者はたくさんいると思われますが、弁護士に相談するところまでたどり着く方は多くはありません。消費者センターに相談される方もいます。ここで解決できる場合も、相当数あるでしょう。
しかし、残念ながら、相談員の知識が不十分なことも多いです。結果的に、救済の道を断ってしまっているケースもあります。特に、クーリングオフは、お金を返してもらうところまでたどり着かないと解決したことになりません。消費者センターに、その力はありません。
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