風営法許可にかかる情報公開請求をやってみました

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★風俗営業とは「いかがわしい」業種

風俗営業とは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)の二条で列挙されている営業のことを言います。同条では、「射幸心」、「歓楽的雰囲気」、「異性の客に接触」、「性的好奇心」、「異性を同伴」、「少年の健全な育成」といった文言を用いて、風俗営業の定義がなされています。厳格であるべき法文中に、「雰囲気」という文言が登場するのは珍しいです。

一言でいえば「いかがわしい」業種ということでしょう。具体的には、キャバクラ、パチンコ店などですが、料亭、バーなども該当する場合があります。

この法律は昭和23年に制定されており、かなり古い法律です。このため、カフェではなく「カフエー」、雀荘ではなく「まあじやん屋」など、歴史的仮名遣いも散見されます。こういった平仮名使いは、平成の頃に一周回ってオシャレと言われていた時期もありましたが、今となっては、二周回ってカッコ悪いと思います。

★風俗営業には許可が必要

ご存じの方も多いと思いますが、もしかしたら経験されたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、風俗営業においては、ぼったくりなど客に不当な金銭を支払わせたり、管理売春など当事者全員が納得したとしても禁止されている行為が行われたりすることがあります。こういった「いかがわしい」こともある業種を、健全に営業してもらうための法律が風営法なのです。
風営法3条により、風俗営業を営もうとする者は、公安委員会の許可を受けなければなりません。風営法を守らない事業者は、許可が取り消されて営業ができなくなってしまいます。

★情報公開条例に基づく開示請求

風営法の許可に関する文書は、都道府県の情報公開条例等にもとづき、開示を受けることができます。例えば、キャバクラでぼったくられた場合などに、店の経営者の氏名の開示を受けて、裁判所に訴えることも可能になります。

★県警本部に対する行政文書公開請求

警察も行政機関ですから、とりあえず都道府県の情報公開室に電話をします。すると、文書の保管者が警察なので、県警本部の情報公開室に連絡するように言われました。
県警本部に連絡すると、情報公開室の担当者が、行政文書公開請求書の書き方を丁寧に教えてくれました。職業柄、警察に電話をかけることも多いのですが、情報公開室の応対はとても丁寧で、本当に神奈川県警かと思うくらいです。

行政文書公開請求書の書式は、県警のウェブサイトで公開されていました(当時)。

県警の担当者から教えられたとおりに、書式を埋めて提出するように言われます。後述しますが、文書の閲覧ではなく、文書の写しの交付を求めたい場合には、「求める公開の方法」の欄に「写し又は複写した物の交付を請求します」にチェックをしておきます。なんとFAXでも受け付けるとのことでした。

FAXで提出して三日後くらいに「情報公開請求された皆様へ」というタイトルの書類とともに、行政文書公開請求書(印刷)が郵便で返ってきました。向こうで訂正した上で、そのまま受け付けてくれたようです。

ちなみに、神奈川県警にFAXを送信する前には、「今からFAXを送ります」と電話連絡をします。電話線をファクシミリに手動で接続する必要があるためとのこと。なんという原始的なシステムなのでしょう。

★神奈川県警からの回答①

請求書控えを受領してから5日後、行政文書一部公開決定通知書(印刷)が届きました。昨今の郵便事情に鑑みれば、請求書を受領してすぐに、通知書を発送してくれているようです。

なお、一部公開ということは、一部非公開ということです。どの部分が非公開なのかは「別紙記載の通り」とされているのですが、実際には別紙は同封されていませんでした。

また、本来、行政文書の開示は、文字通り、「開示」するだけです。文書のある場所まで行って閲覧するのが原則です。ただ、多くの公文書は、閲覧のかわりに、写し(コピー)の交付を受けることができることになっています。その場合、送付方法のお知らせ(マスク不要)というお知らせが同封されています。

今回は、代金10円分の普通為替、文書送付用の封筒に貼る切手84円を、神奈川県の情報公開広聴課に郵送することにしました。

★神奈川県警からの回答②

代金及び切手を発送して一週間後、台帳(印刷)が神奈川県から送付されてきました。タイトルもなにもない文書で、マスキングすると情報が薄すぎるのですが、マスク無しの文書には知りたい内容は記載されていました。

また、二件のバーの情報公開を請求したのですが、回答があったのは一件だけでした。実は、もう一件については、事前に県警の担当者から電話があり、風営法の許可がない、つまりデータベースにないという回答を得ていました。もう一件については、風営法の許可がないということ自体を知ることができたので、この点もOKです。

★最後に

県警に対する情報公開請求は、おもったよりもずっとスムーズに進みました。
一般論では、警察は弁護士に対して非常に冷たい対応ですし、行政文書の公開についても、県や市の担当者は木で鼻をくくったような対応のことが多いです。さんざん時間をかけた上に、ほんの一部しか情報を公開しないということも、珍しく有りません。そういった対応と比較すると、風営法の許可関連の情報公開は、対応は紳士的、スピードも早く、公開内容も必要十分だったと思います。

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