栄養機能食品
「栄養機能食品」は、特定の栄養成分の機能の表示が許された食品です。たとえば「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です」といった表示です。
一日あたりの摂取目安量に含まれる栄養成分量が国の定める規格基準に適合していることを条件に、そのような表示が許されています。逆に言えば、栄養成分量が基準を満たさない食品は、一定程度のカルシウムを含んでいても、このような表示ができません。
特定保健用食品(トクホ)
「特定保健用食品」は、特定の保険の目的が期待できることを表示することが許された食品です。例えば、「おなか調子を整える」といった表示が、これにあたります。いわゆる「トクホ」ですが、個別に生理的機能や特定の保険機能を示す有効性や安全性等に関する科学的根拠に関する審査を受け、消費者庁の許可を受けることが必要です。
しかし、消費者庁の許可を受けるのは大変です。臨床試験が必要とされており、その費用は数千万円、場合によっては一億円以上になることもあります。また、申請から承認に至るまで数年程度かかります。審査基準が厳しすぎるため、思ったようには浸透しませんでした。
そこで、審査条件には満たないものの、一部の有効性が確認されている健康食品は、科学的根拠が限定的であることを条件として、認可を受けることができることになりました。いわゆる「条件付きトクホ」です。具体的な表示としては、「○○を含んでおり、根拠は必ずしも確立されていませんが、××に適している可能性があります」といったものになります。
体にいいのか悪いのかよくわからない、ビミョーな表現です。それゆえ、これも思ったようには浸透しませんでした。
機能性表示食品
そこで、「保健機能食品」に新分類が導入されました。
「機能性表示食品」は、事業者の責任において、安全性及び機能性の根拠を消費者庁に届けることにより、食品の機能性を表示することが認められています。届出制であり、消費者庁から個別の許可を受けるわけではありません。
機能性表示食品の制度は、食品における機能性表示のハードルを大きく下げるものです。安全性、機能性については事業者の責任、ひいては、選択する消費者の自己責任という考え方です。
最後に
食品の表示は、消費者の健康に直結することから、非常に複雑な規制があります。事業者の視点からも、消費者の視点からも、食品の表示には十分に注意していただきたいと思います。